【54歳になりました(笑)】
昨日、某週刊誌の電話取材を受けた。「参考意見としてうかがわせて欲しい…」との前口上で始まったインタビューだったが、「いただいたコメントが記事になることはないと思うので申し訳ない…」と恐縮されていた。要はあらかた書き上げた記事の内容について裏を取っておきたいということなのだ。知人先生からのご紹介ということもあったのだが、テーマが世間で今問題となっているスポーツ界のパワハラに関することだったので、私自身興味もあって受けることにした。

スポーツ界のパワハラ問題と言えば、この一年以内に限定しても全国ニュースになったものだけで、レスリング、アメリカンフットボール、ボクシングと続いて来ていた。どれもパワハラを受けていた選手や関係者にとっては悲しくて、辛いものであり、我慢や忍耐を強いられるものであり、スポーツを応援するファンを冒涜するものである。こうしたことが立て続けに明るみに出るようになった中、この度新たに噴出したのが体操女子の問題である。これについて週刊誌の記者が聞いてきたのは次のような内容であった。

⑴ 選手がコーチに依存することはよくあることなのか?
⑵ 心理的ストレスを受けていると傷が治りにくい、回復しにくいということはあるのか?
⑶ 選手とコーチの信頼関係の厚さとは、例えば足首を捻挫していたり剥離骨折していたりしても「大丈夫だ!行ける!」と言われたら「迷わず行く」と応える位に厚いものか?

20分間程度の短いインタビューだったが、質問の趣旨を捉え損ねるとまずいと考えて誠実に言葉を選んで回答させていただいたつもりである。そもそもこの問題の発端は、速水コーチが宮川選手に暴力を振るっていたことが明るみに出たことから始まっている。それを塚原夫妻という日本体操協会の大御所が取り上げてコーチを無期限登録抹消とし、その処分の解除を求めて宮川選手が「コーチにパワハラを受けたとは思っていない。パワハラは塚原夫妻に受けていた」といった内容のコメントを出して騒ぎが大きくなったものだ。

あくまでもテレビやネット上から拾ったニュースだけが私にとっての情報源なので、実際に誰がどのように発言したのか、その真偽のほどや発言のニュアンス、真意は分かりかねる。事件がどのように収束に向かうのかについては注意深く見守らなければならないが、それはそれとして、「いかなるタイプの暴力も絶対にダメである」ということをお断りした上で、雑誌記者からの質問については以下のように考えを述べさせていただいた。

⑴'スポーツ選手に限らず、関与の度合いが大きければ共依存の状態に陥ることはある。しかし、それは正常なコーチングがなされていればあり得ないことで、立場的にはコーチ自身が気付いて心理的な距離感を正常化するものである。私の様なコンディショニングコーチにとっては当たり前のことであるが選手はお客様であり、上下関係など存在しない。年齢的には親子以上に離れている選手を相手にしているが、言葉遣いも振る舞いも丁寧にしており、威圧するなどとんでもない話である。第一その様なことをしようものなら、保護者から一発で切られるし、選手だって習いに来るはずもない。他にもコンディショニングコーチはいるからだ。ところが、体操のように施設環境や専門技術が特殊な競技はどこででも習えるものではない。どうしてもここでなければできない、この人に教えてもらわないとできないという条件的な制限はあるだろう。特にオリンピックを目指し、メダルを獲得することまで視野に入る状況下であれば尚更である。

⑵'あり得る。多大なるストレスを受けていれば、抗ストレスホルモンを出してこれに耐えようとする。しかし、抗ストレスホルモンはビタミンCから作られるため体内のビタミンCは不足しがちになり、不調を生じることになる。不調は精神的なことから肉体的なことにまで及ぶ。通常、我々コンディショニングコーチがついている場合には体のメンテナンスから栄養指導、メンタルコンディショニングまで目を光らせているので、競技者の不調は起こり難く、仮に起きたとしても対処も適切で早いので大して問題にはならない。ところが、学校スポーツの現場や専門技術の指導者しかいない場合には、正しい対処など不可能である。それどころか、「人よりも多くの練習やトレーニングをした方が勝つ」というような質よりも量を重視する日本のスポーツ界のあり方では、治るものも治らなくなってしまうケースが少なくない。不思議に思われるかもしれないが、スポーツ界の中でもコンディショニングコーチを除くと1日が24時間で、これは世界チャンピオンでも初心者でも同じということが分かっていない人ばかりである。何が言いたいかというと練習してトレーニングも積まなければ勝てないのは当たり前だが、それも回復までできて初めて意味を持つのである。練習時間が長くなり、トレーニングの強度が増せば回復に要する時間は長くなり、必要な栄養素やエネルギーも増えるのだが、そういうことが分かっていない人ばかりである。

⑶ そういう関係があったり、実際に行動に移したりする人がいるのは事実であるが、それと信頼関係とを混同するべきではない。そもそも、その選手の前途(選手としてだけではなく、引退後のセカンドキャリアまで含めての将来設計)を考えれば、まともなコーチであれば絶対に跳ばせないだろう。そう考えるとスポーツ活動の現場で使われているコーチという名称は、本当の意味でのコーチングができる人を意味していないのではないだろうか?

概ねこういった感じの回答をさせていただいた。繰り返しになるが、暴力で人を従わせて良い世界、それが肯定される世界をスポーツ界に残してはいけない。チャンピオンスポーツは厳しいものであるが、それと上下関係や強制力の有無とは切り離すべきである。そんなことをしなくてもコーチと選手の信頼関係は構築できるし、チャンピオンを目指すことは十分に可能である。私自身、小学生から社会人まで沢山のクライアントを抱えているが、皆「先生」と慕ってくれている。そして私は皆さんに対して敬語で接し、だから彼らも敬語を使う。ギスギスしたり、ピリピリした感じはなく、笑顔と楽しさしかない位である。それでもオリンピック選手やプロ選手は育っているし、9割以上の選手は全国大会に出場しているのだ。怒鳴ったり、体罰を振るったりする必要などどこにもない。そんなものは指導力とは言わないのである。もっと正しいコーチングやティーチングが広がって欲しいと願っている。

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【54歳になりました(笑)】
昨日、某週刊誌の電話取材を受けた。「参考意見としてうかがわせて欲しい…」との前口上で始まったインタビューだったが、「いただいたコメントが記事になることはないと思うので申し訳ない…」と恐縮されていた。要はあらかた書き上げた記事の内容について裏を取っておきたいということなのだ。知人先生からのご紹介ということもあったのだが、テーマが世間で今問題となっているスポーツ界のパワハラに関することだったので、私自身興味もあって受けることにした。

スポーツ界のパワハラ問題と言えば、この一年以内に限定しても全国ニュースになったものだけで、レスリング、アメリカンフットボール、ボクシングと続いて来ていた。どれもパワハラを受けていた選手や関係者にとっては悲しくて、辛いものであり、我慢や忍耐を強いられるものであり、スポーツを応援するファンを冒涜するものである。こうしたことが立て続けに明るみに出るようになった中、この度新たに噴出したのが体操女子の問題である。これについて週刊誌の記者が聞いてきたのは次のような内容であった。

⑴ 選手がコーチに依存することはよくあることなのか?
⑵ 心理的ストレスを受けていると傷が治りにくい、回復しにくいということはあるのか?
⑶ 選手とコーチの信頼関係の厚さとは、例えば足首を捻挫していたり剥離骨折していたりしても「大丈夫だ!行ける!」と言われたら「迷わず行く」と応える位に厚いものか?

20分間程度の短いインタビューだったが、質問の趣旨を捉え損ねるとまずいと考えて誠実に言葉を選んで回答させていただいたつもりである。そもそもこの問題の発端は、速水コーチが宮川選手に暴力を振るっていたことが明るみに出たことから始まっている。それを塚原夫妻という日本体操協会の大御所が取り上げてコーチを無期限登録抹消とし、その処分の解除を求めて宮川選手が「コーチにパワハラを受けたとは思っていない。パワハラは塚原夫妻に受けていた」といった内容のコメントを出して騒ぎが大きくなったものだ。

あくまでもテレビやネット上から拾ったニュースだけが私にとっての情報源なので、実際に誰がどのように発言したのか、その真偽のほどや発言のニュアンス、真意は分かりかねる。事件がどのように収束に向かうのかについては注意深く見守らなければならないが、それはそれとして、「いかなるタイプの暴力も絶対にダメである」ということをお断りした上で、雑誌記者からの質問については以下のように考えを述べさせていただいた。

⑴'スポーツ選手に限らず、関与の度合いが大きければ共依存の状態に陥ることはある。しかし、それは正常なコーチングがなされていればあり得ないことで、立場的にはコーチ自身が気付いて心理的な距離感を正常化するものである。私の様なコンディショニングコーチにとっては当たり前のことであるが選手はお客様であり、上下関係など存在しない。年齢的には親子以上に離れている選手を相手にしているが、言葉遣いも振る舞いも丁寧にしており、威圧するなどとんでもない話である。第一その様なことをしようものなら、保護者から一発で切られるし、選手だって習いに来るはずもない。他にもコンディショニングコーチはいるからだ。ところが、体操のように施設環境や専門技術が特殊な競技はどこででも習えるものではない。どうしてもここでなければできない、この人に教えてもらわないとできないという条件的な制限はあるだろう。特にオリンピックを目指し、メダルを獲得することまで視野に入る状況下であれば尚更である。

⑵'あり得る。多大なるストレスを受けていれば、抗ストレスホルモンを出してこれに耐えようとする。しかし、抗ストレスホルモンはビタミンCから作られるため体内のビタミンCは不足しがちになり、不調を生じることになる。不調は精神的なことから肉体的なことにまで及ぶ。通常、我々コンディショニングコーチがついている場合には体のメンテナンスから栄養指導、メンタルコンディショニングまで目を光らせているので、競技者の不調は起こり難く、仮に起きたとしても対処も適切で早いので大して問題にはならない。ところが、学校スポーツの現場や専門技術の指導者しかいない場合には、正しい対処など不可能である。それどころか、「人よりも多くの練習やトレーニングをした方が勝つ」というような質よりも量を重視する日本のスポーツ界のあり方では、治るものも治らなくなってしまうケースが少なくない。不思議に思われるかもしれないが、スポーツ界の中でもコンディショニングコーチを除くと1日が24時間で、これは世界チャンピオンでも初心者でも同じということが分かっていない人ばかりである。何が言いたいかというと練習してトレーニングも積まなければ勝てないのは当たり前だが、それも回復までできて初めて意味を持つのである。練習時間が長くなり、トレーニングの強度が増せば回復に要する時間は長くなり、必要な栄養素やエネルギーも増えるのだが、そういうことが分かっていない人ばかりである。

⑶ そういう関係があったり、実際に行動に移したりする人がいるのは事実であるが、それと信頼関係とを混同するべきではない。そもそも、その選手の前途(選手としてだけではなく、引退後のセカンドキャリアまで含めての将来設計)を考えれば、まともなコーチであれば絶対に跳ばせないだろう。そう考えるとスポーツ活動の現場で使われているコーチという名称は、本当の意味でのコーチングができる人を意味していないのではないだろうか?

概ねこういった感じの回答をさせていただいた。繰り返しになるが、暴力で人を従わせて良い世界、それが肯定される世界をスポーツ界に残してはいけない。チャンピオンスポーツは厳しいものであるが、それと上下関係や強制力の有無とは切り離すべきである。そんなことをしなくてもコーチと選手の信頼関係は構築できるし、チャンピオンを目指すことは十分に可能である。私自身、小学生から社会人まで沢山のクライアントを抱えているが、皆「先生」と慕ってくれている。そして私は皆さんに対して敬語で接し、だから彼らも敬語を使う。ギスギスしたり、ピリピリした感じはなく、笑顔と楽しさしかない位である。それでもオリンピック選手やプロ選手は育っているし、9割以上の選手は全国大会に出場しているのだ。怒鳴ったり、体罰を振るったりする必要などどこにもない。そんなものは指導力とは言わないのである。もっと正しいコーチングやティーチングが広がって欲しいと願っている。

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SOURCE : gym-get.jp

Posted date September12,2018

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